今日最寄駅に向かう途中、道の端に横たわる子猫を見つけた。
はじめはもう亡くなっていると思ったけど、よくみるとお腹がすこーし動いている。生きている!
私は羽織っていたシャツを脱ぎ、横たわる子猫を包んだ。外傷はない。目を開けた。生きている!まだ助かるかもしれない。抱き上げると、温かい。トクトクと鼓動が伝わってくる。生きている、ちゃんと。
近くにある動物病院に電話をしたら連れてくるように言ってくれた。
私はむずがる子猫を抱き、声をかける。イヤそうだが、相当弱っているのか抵抗も力ない。『ごめんね、イヤだよね。こわいよね。でももう少しで病院だから、我慢してね。頑張ってね』傘を落としそうになりながら、小走りで病院を目指す。病院はこんなに遠かっただろうか。
やっと病院について看護婦さんが診療代にペットシートを敷いてくれた。
子猫をそこに寝かしたとき、看護師さんが『あぁ、間に合わなかったかも…』と呟く。
さっきまで、確かに生きていたのだ。信じられない。『え、でも』
看護師さんが聴診器を胸に当て、瞳を見て、『瞳孔も開いているし…ねぇ、君にはいったい、なにがあったんだろうねぇ。こんなに可愛らしいのにね…』と優しく声をかけた。
いつ息をひきとっていたのだろうか。まったく気が付かなかった。まだ少し温かい頭をそっと撫でる。前足に触れると、冷たかった。昔動物を飼っていたから知っている、亡くなった動物の冷たさだ。涙が一気に込み上げる。
『わたしが、苦しい抱き方してしまったのかな…』と呟くと看護師さんが即座に否定してくれた。
でも、考えずにはいられない。
違う抱き方をしていたら。
応急処置でできることがあったかもしれない。
そもそももっと早く見つけていたら。
あの子は助かったかもしれないのにって。
たった15分だけ子猫と私の時間は交わった。一つの小さな命が自分の腕の中で消えてしまったこと、受け止め方がまだわからない。ただただいまは悲しい。子猫は看護師さんの見立てによると生後1ヶ月程度だったようだ。
意味なんてないのかもしれないけど、なぜあの子猫と出会ったのかを考えてしまう。出会ったからにはやっぱり助けてあげたかった。まだ生きているとわかった瞬間、どんなことでもしてあげようと思ったんだよ。生きていてさえくれれば、安心して生活できるようになるまで、できることは何でもしたのに。
子猫の亡骸は費用をお支払いしたうえで動物病院のご紹介先で火葬していただくことになった。領収書のペットの名前のところに『コネコ』と書かれているのを見ると、なぜかすごく胸が苦しくなる。心から、ご冥福をお祈りします。
記録に残すことがあの子猫が生きていた証になると思い、ブログに書きました。