ボブ太郎の余暇とひとりごと

女子ウケしない、旅とか趣味とか。

映画観た。~活きる

中国映画好き

 

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特に文革あたりの時代背景のものをよく観ます。

小さな中国のお針子」「さらば、わが愛」「妻への家路」この辺は好きな映画ランキング上位に入れたい!くらい。で、「活きる」も結構前から観たい映画リストに入っていたのですが、なかなか観るタイミングが作れずようやく観ました。

 

eiga.com

 

内容はとにかく生きていく、人生を歩んでいくということ。

物語は裕福な家庭の放蕩息子だった主人公が賭け事で家財の一切を失うところから始まる。その後の家族の再生、戦争などはどちらかというと身体的な不安や苦痛。命からがら戦地から帰ったのちは革命のもと、コロコロと正義が変わる社会に生きる苦しさがある。それでも生きていくんだ、生まれたからには。という信念よりもっと原始的な強さを感じた。

 

この作品を象徴するのは影絵。

繊細で美しい影絵は伝統的な音楽と激しい歌唱とともに上演される。この消えゆく文化、幕の裏の情熱は激動の時代を生きる人々の心を映す。

 

あくまで、あくまで個人的な感想ですが「皮肉すぎるぜ」と嘆かずにはいられない主人公夫婦の人生。そんななか人との出会いが運んでくる心の交感や絆の温かさは尊く、観る側にとっても救いである。

主人公は子に優しく「これからもっといい時代になる」という。「これからもっと幸せになろう(するよ)」とは決定的に違うこの言葉。

結局ひとは長く続く時代の流れの中、ほんの50〜100年を生きているだけなのだ。親ガチャという言葉が生まれて久しいが、生まれた時代の文明度や社会情勢、環境、それらには抗いようがなくて、ただひたむきに生きるしかないのだよ、という真理を語りかけられているような気がした。それは受け身で無思想で、みっともないことなのか?少なくとも激動の時代を生き抜くために、生きることを最優先すれば、時代や社会に合わせて振る舞うことしかできないと思う。それが意識的でも無意識でも。

そしてこの恐ろしい社会のあり方は過ぎ去った過去の話ではなく、いま住んでいる国で起こっていないだけ(もしくは表面化していないだけ)なんである。人間社会はいつだってこうなる危うさを孕んでいる。

 

1990年代の作品ですが、いまにも通ずる、悲しさや苦しさが詰まった映画。ぜひ観てみてください。

 

 

全然似てない

授賞式などでキメキメのドレス姿もキリッとしてて大好き。